歩文舎コソコソ話② タイトル決め

『てのひらの散文』は日常のふとした瞬間を留めておきたくて書き連ねたエッセイ集だ。

10本のエッセイを書き終わり、それらを束ねるタイトルを考えた。覚えやすく、パッと見て意味が通じるような……色々と考えて思い浮かんだのが「てのひら」だ。手に載るほどささやかな場面を集めた文章たち、という意味を込めて『てのひらの散文』に決めた。

しばらくしてから、そういば川端康成に『掌の小説』という本があったことを思い出した。どこから読んでも楽しめる、かなり分厚い掌編小説集だ。川端康成の「掌」にあやかって私の「てのひら」も読んだ人の心に残ればいいな、とちゃっかり偶然の一致を喜んだのだった。

 

2冊目の『わたしの積読解消日記』というタイトルは一発で決まった。読書好きの主婦が、買ったまま読めずに積んである本の山を少しずつ読んでいく。書評でも読書感想文でもなく、日々の営みのかたわらに読書がある。そんな様子を記録したかった。

読み返すと、当時の生活と読んでいた本の内容が裏側で繋がっているようないないような、なんだか面白い本になった。