歩文舎コソコソ話① 本作りはボトルレター

今年の2月に初めて本を作った。

印刷所から段ボール箱が届いたとき、きゅっと胸が縮んだ。緊張と高揚。表紙を撫で、ページをめくる。あ、本だ。数日前は画面の上にしかなかった文章が、本になっている。この感動は病みつきになる。

本作りには文明の利器、スマホをフル活用した。少しでも時間が空けば「縦式」というアプリで文章を打ち、本文データを作った。表紙はcanvaというサイトでなんとか形になった。

周りに本作りをしている知人がいなかったので、全ての工程がネットの情報頼りだった。ネットの海に浮かんでいた情報は、まるで「あなたも本を作ってみなよ」と書かれたボトルレターのように私を導いてくれた。顔の見えない先人たちのおかげで、この世に一冊の本が生まれた。